- Santiago Marin サンチャゴ・マリン (スペイン)
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1948年9月15日、スぺイン、グラナダ生まれ、子供のころは親の木工工場で働き、16歳から11年間、叔父のアントニオ・マリンの工房で、ギター製作技術を習得した。
1973年に独立して、ギター工房を現在の場所に開き、ギター製作を開始した。息子のルイス・ミゲール・サンチャゴ・マリンは一人前の製作家となり、一緒に製作している。
1985年グラナダで開かれた国際ギター製作コンクールの第1位、1993年のハエン、1995年のバルセロナ国際ギター製作コンクールでも第1位となった。
アルハンブラ宮殿のそそり立つグラナダは、環境に恵まれたギター製作のスペインの中心地でもある。アントニオ・マリン・モンテーロを頂点とし、師と仰ぐ製作家の多くがグラナダに住んでいる。
パコ・サンチアゴ・マリンのギターを使用するコンサートギタリストでは、レオ・ブローウェル、デービッド・ラッセル、マリア・エステル・グスマン、コンラド・ラゴスニックの名が見える。
真面目な性格をよくあらわしたギターである。がっちりした構造でつくられ、音の芯が太く、弾きこむことによって、音が年とともに良くなってゆく楽しみなギターである。
- Sascha Nowak サッシャ・ノバック (ドイツ)
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サッシャ・ノバックは1962年、ドイツ・デュースブルグに生まれ、ジィーゲンで育った。1986年からはフライスブルグに移り、1987年からギター製作家として工房を開いた。
数年にわたりギター製作を手がけた後、スペイン、グラナダでギター製作に携わっていたドイツ人ロルフ・アイヒンガーの協力を得た。グラナダでギター製作活動を続け、"グラナダスクール"を主宰していたアントニオ・マリン・モンテーロの指導に大きく心を動かされ、影響を受けた。
スペイン、アンダルシア地方の古い伝統的な製作技術を学んだことが、今日のスペイン的なサウンドにドイツの持つ重厚さがギターににじみ出ている。このスペインの製作技術を身に付けた一流のギター製作家の数は多く、世界各国からグラナダに習いに来ている。
- Sergio Abreu セルジオ・アブリュー (ブラジル)
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1948年ブラジル、リオ・デ・ジャネイロで生まれ、祖父、父からギターを学び、後、アルゼンチンのギタリストでアンドレス・セゴビアの弟子であったアドルフィナ・ライツィン・デ・タヴォラに習った。
弟、エドワルドとの二重奏は、世界的に有名となり、デッカ、CBSでレコーデイングされ、1975年に二重奏は解散したが、その後6年間は、ソロイスト、室内楽奏者としてヨーロッパ、オーストラリア、南アメリカで活躍した。
10代の頃から神秘的な音を創造するギターに興味を抱いていたセルジオは、世界の有名なギター製作家、ホセ・ロマニーリョス、デーヴィッド・ルビオ、ヘルマン・ハウザー、トーマス・ハンフリー、ポール・フィッシャー等と演奏旅行の間に交流を結びギター製作について話し合うのが楽しみだった。
1977年、トーマス・ハンフリーのニューヨークにあるギター工房で2ヶ月間、基礎的な木工技術を習い、1981年、ステージを去りギター製作に転じた。ブラジルのみならず、ヨーロッパ、アメリカのコンサートギタリストから、高い評価を受けながら製作している。
自分で納得できるギターを製作するため、材料にこだわりをもち続けるギターは、まさに芸術品である。日本にはほとんど入っていないが、紹介したいギターの1つである。
- Thomas Humphrey トーマス・ハンフリー (アメリカ)
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Millennium
1970年よりギター製作を始めているトム・ハンフリー。アメリカを代表するギター製作家となった。研究熱心で、それまでのギターに飽き足らず絶えず新しい開発を心がけていたのである。
1985年、ミレニアムと呼んだ新しい画期的なギターを発表した。指板を上げた構造にし、ハイポジションを弾き易くしたのである。これに伴って、ボディ構造も変えられ、音量が豊かになり、ギタリストをひきつけるギターとなった。
表板は通常レッドセダーと呼ばれる杉材が使用される。ハンフリーは積極的にミレニアムギターを著名なギタリストに試奏してもらい賛同を得てきた。
ミレニアムギターを弾く代表的なギタリストにはシャロン・イスビン、アサド兄弟、エリオット・フィスク、ウィリアム・カネンガイザーなどがいる。
最近、ハンフリーは新しい製作法を試みている。ボルトでつないでネックを取替えやすくし、製作時間も短縮しようというのである。音の面で通常のギターと変わりないという。彼の研究は続く。